小さな会社のプラント設計
- 北斗工機株式会社
- 2025年12月22日
- 読了時間: 3分
当社は穀物プラントに関わる建設会社の中でも、比較的規模の小さな会社です。
プラントで使用する自社設計機器については、製造数が少ないため量産効果が出にくく、競争上不利な面もある一方、それ故にできる工夫があります。
その一例として、搬送量40~80t/hの中型昇降機(HBEシリーズ)をご紹介します。

HBE60
現在の当社プラント向け昇降機として使用するHBEシリーズは、2012年に開発着手し、高い信頼性と(一見矛盾する)故障時の強靭性確保に特徴があります。
HBEシリーズは国内の穀物搬送用昇降機としては珍しく、電動機軸直結設計です。
この方式は、減速モーターのコストは上がるものの、スプロケットやチェーン等のメンテナンス不良に起因するトラブルが無いため、信頼性向上とランニングコストの低減が可能となります。
では、信頼性とはある意味矛盾する、「故障時の強靭性確保」とは何を意味するのか?
そこに、規模が小さい故にできる工夫があります。
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プラントで使用される昇降機は、機器のレイアウトにより様々な長さがあり、それに応じたモーター動力となり、60t/h能力の場合、機長に応じて3.7kWから最大11kWまであります。
機長が長くなると、ヘッドプーリー軸にかかる搬送荷重とモータートルクが大きくなるため、ヘッドプーリー軸の直径は、モーター動力区分に応じて複数設計し、それにより各機長で最適設計として、コスト低減を図るのが一般的です。
ですが、当社は製造数がそもそも少ないのです。
そのような設計により低減できるコストよりも、逆に最大モーター動力に合わせた軸径に統一することによって得られるメリットの方が大きいと判断しました。

駆動用減速モーター種類
そのメリットとは、
1.全て同じ軸設計になることで、製造ミスを無くし、また見込み生産が可能となる
2.プラントの増改築で昇降機の延長や短縮が生じても、そのまま利用可能となる
3.稼働中にプーリーが壊れても、(使用していないラインの)いずれの昇降機からも転用が可能となる
幸いHBEシリーズでは納入後にプーリーが破損した事例は発生していませんが、万が一の破損発生時、その時工場を止めないための工夫として、プーリー軸径を統一する。
これが、製造数が少ない故にできる工夫で、またプラントエンジニアが考える装置設計の特徴の一つと言えるかもしれません。
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この設計は、住友重機械工業株式会社様の減速モーターを利用することで可能となっています。
同社の減速モーターは、減速機に複数のサービスファクター(SF、安全率)が設定され、出力軸径(ホロー径)を選択することが可能です。
HBE60で使用するバディーボックス減速機では、モーター出力が変わっても、SFを選択して出力軸を統一し、共通のプーリー軸に対応できるようにしています。
例えば5.5kWではSF1.75の減速機を選択していますが、それは通常よりも大きな安全率であることを意味しています。


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