小さな会社のプラント設計6
- 北斗工機株式会社
- 7月1日
- 読了時間: 4分
次世代プラントに向けた技術開発。
それはアグリスプロジェクトという共同開発形式で進められました。
***
システム関連の展示会をみても、「原料性状が変化する」「選別が連続的に変化する」という特徴に対応した生産管理システムがみつかりません。
そんな中、「そのようなシステムは、農作物のプラント以外にも幅広く一次産業全般で需要があるのではないか?」と、共同開発の手を差し伸べてくれたのが、向野商事株式会社様でした。
北海道内の電力や製糖、製紙で幅広いユーザーとつながりを持つ同社も、プラントの将来像を模索していたのです。
こうして、システム開発を向野商事様が担い、そのシステムの有効性検証を当社が道内の農作物プラントで行うという共同開発体制で、プロジェクトが動き始めます。
折しもコロナ禍で人の往来が制限されるなか、遠隔プラント監視や自動化への需要が高まり、スピード感を持った開発が求められました。

プロジェクトは現時点で3つの成果となっています。
1:GFM4000、GFM400Ex
Grain Flow Meter
穀物選別機の多くは人の監視を前提とし、選別状態を出力する機能を持っていないため、管理計器としての流量計が必要でした。

流量計への着目は、当社が馬鈴しょでん粉製造の合理化を目的として設立されたことと無関係ではありません。
馬鈴しょを磨砕し、「でん粉乳」と呼ばれる液体を精製する工程では、電磁流量計や圧力計などの管理計器を使用した生産管理が行われています。
密閉された配管、装置、タンクにより製造される工程では、管理計器による見える化が欠かせません。
一方、麦や豆類では、選別状態や搬送量は目視で確認可能です。
「見れば分かる」故に今まで管理計器の必要性が意識されなかったのかもしれません。
変化の見える化の第一歩は、穀物流量計から始まりました。
2:AGRiS
Analyzing Grains factory Real time information System
2021年 向野商事様 商標登録
変化の原因は、原料由来の場合もあれば、外気温度の変化や選別の不調による場合もあります。
様々な遠隔監視システムを参考としつつ、プラントユーザーが求めているのは「特定データの深掘り」ではなく、「幅広いデータの相関性」であり、また「数値の見える化」ではなく、「変化の見える化」が重要と考え、各データの相関性と変化を直感的に把握できるシステムを模索し、アップデートを重ねています。

3:A-CADi
AGRiS- Conditional Auto control by integrated DATA
2024年 向野商事様 商標登録
特許第7722645号
従来の自動運転の考え方は、多くのセンサーを用いて、機械の稼働状況、品質を監視し、
正常範囲に収まっていることを確認することで製造保証する、というものでした。
A-CADiは「データの変化が一定の範囲内であれば、結果的に製造品質を満たしている」と考え、センサー類の追加なしに自動運転を可能とする機能です。

「変化が一定の範囲内に収まっていることをシステムが監視する」
「一定の範囲を超えた(下回った)場合は、システムが自動停止を行い、人の判断を待つ」
それにより夜間の自動運転はもちろん、日中でも「心配だから念のため監視する」作業から人を開放し、「普段は安心してさまざまな他の作業に没頭できる」環境を作ります。
***
「システムが人をサポートする」
第4世代のコンセプトは実現しました。
プラントの世代分類、そこから見えたのは、第3世代と第4世代の間にある大きな変化。
それはハードウェア投資からソフトウェア投資への移行と言えます。

ハードウェアの開発サイクル、特に稼働期間が短い農作物のプラントでは、実証テスト・問題抽出・改善設計というサイクルが年単位となるのが通例で、当社HBE60型昇降機では、開発着手から販売まで5年を要しています。
一方、ソフトウェアは全く異なるサイクルで改良が可能です。
ソフトウェアの圧倒的な改良スピードにより、プラントの生産効率が劇的に向上し、従来とは異なる取扱量を可能とし、農業エコシステム全体が大きく変化する。
それが第4世代への移行なのかもしれません。



コメント