小さな会社のプラント設計3
- 北斗工機株式会社
- 1 日前
- 読了時間: 4分
プラントは様々な機械装置の集合体であり、多くの専門機械メーカーの技術を頼ることになります。
また、機械装置はそれ単体で使われるのでは無く、プラントの中で他の機械と組み合わせて使うことで、価値を生みます。
つまり、プラントは機械メーカーを必要とし、また機械メーカーもプラントを通じてユーザーに価値を提供する、という関係にあります。
当社は、機械メーカーの優れた技術を大いに頼ります。ただし、一方的に頼るのではなく、プラントが必要とする機能を正確に伝え、改善を要望する。
時に自らテストを行い、メーカーに改善提案するところに特徴があります。
その代表的な例として、デンマーク・ウェストラップ社の選別機を挙げます。

同社の選別機は、大型穀物施設で広く利用されていますが、特に北海道の小麦用粗選別機では、当社要望により日本向けの仕様が改善されてきた歴史があります。
北海道では、昭和60年頃より小麦施設の大型化が進み、従来よりも大きな処理能力の選別機が求められました。
当社の乾燥機も大型化し、各種選別機も海外の大型機の採用が進みましたが、日本特有の問題から、能力を出すことが難しい分野がありました。
それは、「高水分小麦の粗選別」です。
※粗選別:収穫時に含まれる茎やサヤ、土砂等の異物を除去する選別工程
日本の小麦収穫期は雨が多いため、刈り取り適期を逃さないために水分が高い状態で収穫せざるを得ない場面が多々生じ、そのような原料は流動性が悪く、また夾雑物も多くなるため、選別が非常に難しくなります。
一方、海外の機械はそのような小麦(高水分小麦)を想定していません。
そこで、産地の現状を知る当社が、メーカーに情報を伝え、改善を要望してきました。
***
・SP型 供給モジュールの変更
SP型粗選別機は、モジュール設計となっていて、供給部A、風選B,C、エアーコラムD、スクリーンE等のモジュールの組み合わせにより、選別対象に合わせた仕組みを選択できます。
ところが、高水分小麦に適した供給モジュールが当初ありませんでした。
道内で初使用のSP型ではA3モジュール(ストローバンド仕様)が使われましたが、ストロー(茎)の排出に問題が生じました。
そのため、従来使われていた別の粗選別機(SI型)の供給部SITユニットが高水分小麦に適していたため、SP型の供給モジュールとして使うことを要望し、その後の日本向けの標準仕様となっています。

・SP型 風選屑エアロックバルブの大径化
粗選別機は投入部と排出部で風力選別を行いますが、その風力選別屑を分離して排出する部分に用いられるエアロックバルブの回転速度が速く、また出口が狭いため、風選屑の排出不良を起こすことがありました。
そこで、大径化したうえで回転を遅くし、かつ出口を広げることで、その問題を解消できると考えました。
ウェストラップ社から改良型エアロックバルブを提供してもらい、当社で実地評価を行い、その後日本向けの標準仕様となりました。

・SI型 ディバーダー角度変更
高水分小麦の様々な流動性対策を検討する中で、SI型の能力もディバーダー角度を変えることで改善できると考え、自社でテストディバーダーを作り、有効性を確認しました。
このテストを経て、日本向けSI型のディバーダー角度は従来の10度から15度に変更され、高水分小麦におけるその部分でのボトルネックは解消されています。

・夾雑網テスト
現在のシフターの多くは、網の閉塞対策としてパンチボール方式(パンチボールの衝撃により穴に刺さる夾雑物等を取り除く)を採用しています。
ボールの偏りを防ぐために、ボールを収めるフレームには一定幅の仕切が付いていますが、その仕切の直上は、構造上ボールが選別網を叩くことができません。
そこで、「閉塞の起点となる、パンチボールの当たらない区間を、あえて無孔区間とする」というアイデアの有効性を確認してみました。
テストの結果は、無孔区間を設けることで閉塞を低減できるというもので、その内容は今後の参考としてウェストラップ社へ伝えています。
※従来から選別網(下網)については無孔区間を設けた商品はありましたが、本例は夾雑網(上網)においてその有効性を確認したものです。

***
このような改善要望は、その必要性を輸入元が正確に理解してメーカーに伝え、またメーカーがそれに応えてくれなければ実現できません。
輸入元である株式会社東映エージエンシー様のユーザー目線に立った姿勢と、産地固有の問題であってもメーカーとして出来る限りの技術協力を惜しまないウェストラップ社の対応に、深く感謝申し上げます。



コメント